【45.はな】

「はな」
「えー、なぁに?」

トコトコトコと、短い足を動かして、近づいてくるはな。
その様子はすごく危なっかしくて、俺は気が気じゃなかった。

ようやく俺の元にたどり着いたはなを、膝の上に乗せる。
見下ろすはなは、首をかしげて俺が何かするのを待っていた。
別にこれといった用事があって呼んだわけじゃない。
何かないかとポケットをまさぐると、ミルクキャラメルが2個出てくる。

「食うか?」
「うん、くう!」

嬉しそうに頬を上気させて、大きな目をキラキラさせるはなは、見ていてとても可愛い。
文句の付け所もなく可愛い。
思わず犯罪に走りそうな可愛さだ。
男の大半はロリコン属性があるって噂、今なら信じられるかもしれない。

「あーんしてよ、きょーちゃん」
「……ったくしょうがねぇー」
「あーん」

包み紙をむき、大きく開けた口の中に放り込む。
何度か噛んで柔らかくなったのか、にこりとはなは笑った。
それはもう俺の理性をぶっ飛ばすような超絶可愛い笑顔で。

「えへへ、きょーちゃんやさしー」
「……ほら、さっさと昼寝でもしろ」
「はぁーい」

俺のあぐらから抜け出し、パタパタと廊下を駆けてゆく。
その背中を見送り、俺はこれからを思ってため息をついた。

(08.08.08)






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