【ウィルの場合】
「おかえりなさいませ、ご主人さ……ま」
「ただいま、ユノちゃん」
「えっ、あ……名前で呼ばないでください。他のメイドに怪しまれます」
周りをキョロキョロと伺って、口元に手を当て秘密の仕草を見せるユノに、ウィルの理性は警鐘を鳴らす。
普段と違う格好、雰囲気、口調にウィルの心に悪戯心が芽生えた。
「いいじゃないか。僕らの間にはこれっぽちもやましいものなんてないんだから」
「ウィ……ご主人様っ、困りますっ。私はメイドで!」
「まぁ、まぁ、照れないで。それより席に行こうか。君のおもてなしかー嬉しいね」
「ちょっ、待ってください、ご主人様っ」
店内を勝手に進んでいくウィルの後ろをユノが追いかける。
その背中はウィルが来た喜びに満ち溢れていた。
* *
「何だかんだ言ってウィルってむっつりなのよねー」
「そのままお持ち帰りされなかっただけいいと思うんだが……」
「でも、制服のまま連れ去られそうね」
2008.04.02